映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」を解説

映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」を解説

「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」ときたら、「ジェネラル・ルージュの凱旋」であります。もちろん原作は海堂尊作品です。「チーム・バチスタの栄光」は「このミステリーがすごい!!」大賞を受賞した作品です。原作者の海堂尊はペンネームですが、現役の医師です。現役の医師が現代医療の問題点を取り上げた小説は、エンターテイメント性も大変豊かで大人気作品となりました。そして小説も大ヒットした通り「チーム・バチスタの栄光」はドラマ化されて大ヒット作品になりました。

小説家の中でも海堂尊は、かなりの速筆でも業界の人たちに知られています。そのため「ジェネラル・ルージュの凱旋」は前作品の「ナイチンゲールの沈黙」がおそらく1冊には収まる原稿量ではないことをあらかじめ見越したことで、時系列が「ナイチンゲールの沈黙」と同じで完成したのが【ジェネラル・ルージュの凱旋】です。今回のこの作品も、阿部寛に竹内結子の掛け合いがこれまた最高の作品になっています。

ジェネラル・ルージュの凱旋

映画『ジェネラル・ルージュの凱旋』は2008年公開の「チーム・バチスタの栄光」の続編になっています。全作品同様に、田口公子を演じるのは竹内結子、白鳥圭輔を演じるのが阿部寛です。テレビ版とは違い、速水晃一を演じるのは堺雅人です。速水は緊急医療に自分の人生を全て賭けるという熱い思いを胸に秘め「ジェネラル・ルージュ」つまり「血まみれ将軍」という異名を持つ救急センター部長の中でも暴君です。助演男優賞を堺雅人はこの作品で獲得していますが、主役のふたりを食うような圧巻な演技もみどころです。

ざっくりあらすじ

映画の舞台となるのは、「チームバチスタの栄光」と同じく東城大学付属病院です。そして全作品と同じく、お人よしで血をみるのが苦手な診療内科医の田口公子と破天荒なキレキレの厚生労働省の役人白鳥圭輔とのコンビのデコボココンビの2人が活躍します。救急救命センター長でもあり「ジェネラル・ルージュ」と呼ばれる速見にかけられたある疑惑です。速水にかけられた疑惑とは「医療メーカーと速水が癒着がある」という告発の手紙です。それに加えて、その医療メーカーとの癒着には看護師長の花房も共犯だと書かれています。

いつもチュッパチャプスを加えている速水は、救命センター長を務めるだけのことはあり冷静沈着で、医師としての技量は天才だといわれるほどの腕前で救命センターで敏腕をふるっていますが、それだけにかなりの敵もいるのもこれまた事実です。いったい「医療メーカーと速水が癒着している」という告発文章を出したのは一体誰なのでしょう?!

院長からの依頼を受ける形で、厚生労働省役人の白鳥は速水にかけられた疑惑を真相を探るために調査に乗り出します。ところがそんな最中に、医療メーカーのプロパーがヘリポートから転落死しました。ここでも速水に賄賂のほかに殺人の嫌疑がかかります。速水がクロかシロか?!

個性豊かな登場人物

原作では田口医師は男性ですが、映画では女性になっています。そして登場する人物が、とにもかくにも一癖もそして二癖もあるのが、さらに作品を面白くさせています。主人公の田口と白鳥との掛け合いも、さらにテンポよく白鳥の「すっこんでろ!」とコミカルにテンポよく進む中で、天才医師で常に冷静に緊急医療現場で働く速水は、微笑むことすらなく常に冷静沈着でつかみどころのないだけに、天才だけどクロなのか?という疑念を観ている側が抱きます。

論理委員会委員長の沼田の思惑は、心療内科を病院の看板にしようと目論んでいて、病院の事務長はとにかく病院の利潤を一番に追い続けています。そして事務長は元厚生官僚でもあり白鳥の先輩に当たります。個性豊かな登場人物が、医療現場でさまざまな思惑をもちながら複雑に絡み合って行く様子は、かなり白熱した出来栄えです。原作を見ていない人でも、じゅうぶんに楽しめるのはもちろんのこと、前作を観た方には前作の馴染みの顔ぶれも登場します。

キャスト

田口公子(原作は田口公平): 竹内結子
…血を見るのが苦手でお人よしな診療内科医。ドラマ版と映画版の違いは、主人公の田口が女性になっている点です。
白鳥圭輔: 阿部寛
…厚生労働省の官僚。ロジカルモンスターという異名を持ち、破天荒でありそしてかなりのキレモノ。
速水晃一: 堺雅人
…いつもチュッパチャップスを舐めている。東城大学医学部付属病院救命救急センター部長で、暴君として取り仕切る。「ジェネラル・ルージュ」と言われている。
花房美和: 羽田美智子
…救命救急センター看護師長。告発文書では速水と一緒に癒着に関わっていると指摘されている。看護課のエースでもあり「将軍の近衛兵」(ジェネラルの)と言われ、ICU病棟を取り仕切る。40代ですが、年齢を感じさせず気品が漂う風貌。重大な決断も潔く「ハヤブサ」と世ばれれている。
佐藤拓馬: 山本太郎
…救命救急センターで、速水の厳しい指導を受けている。かなり厳しい指導から、指導に不満を抱いているようだ。
沼田利博: 高嶋政伸
…東城大学医学部付属病院精神科助教授で、倫理問題審査委員長(エシネック・コミティ)。重箱の隅をつつくような陰湿な性格。
三船啓二: 尾美としのり
…厚生労働省元官僚でアメリカ帰りのかなりのキレモノで、白鳥のかつての先輩。東城大学医学部付属病院事務長でもありエシネック・コミティの委員も務める。
如月翔子: 貫地谷しほり
…救命救急センター看護師で、学業は芳しくないものの実技の腕は高い看護師。「ICUの爆弾娘」とも言われている。

ネタバレどどどーん!

論理委員会の委員長に選出された田口は、どうやら単なるお飾り的な立場のような感じですが「チーム・バチスタ事件」を解決したという功績が認めたからでしょうか?!委員長という立場になったことをのほほーーんとしている田口からすると、いい迷惑でしかありません。

そんな中で救急究明センターに手書きの告発文書が届きます。告発文書の内容は、救急救命センター長の速水と医療メーカーと癒着していて、共犯には看護師長の花房の名前が書かれていました。救急救命センター長の速水医師は、凄腕のドクターでもあり救急医療現場で敏腕を振るっていますが、医師としての腕はかなりたちますがその言動などでかなりの敵もいるのも事実です。敏腕そして剛腕ぶりから「ジェネラル・ルージュ」(血まみれの将軍)と呼ばれています。糖分を補給したいからなのでしょうか。厳しい顔をしながら、常にチュッパチャップスをなめていますが、これがネタバレの伏線になるので覚えておきましょう。

告発文書が届いたことで、速水に対して疑惑の目が向けられる中でヘリポートから医療メーカーの営業マンが転落死するという事態が発生しました。この男がヘリポートから転落死したのは、他殺かそれとも自殺なのでしょうか?! 田口は医療メーカー営業マンの男が死ぬ直前に言い争いをしていたために、警察から事情聴取を受けることになりました。医療メーカーの営業マンは田口へ野球大会の写真をDVD落としたものを渡そうとしたのですが、田口は早とちりをしてしまい賄賂だと勘違いをしてしまったからでした。

厚生労働省の官僚の白鳥が、病院へ救急搬送されてきました。どうやら白鳥は事故を起こして救急搬送されたようで、診断の結果はそのまま入院となって、なおかつ車椅子での入院生活となりました。今回は車椅子探偵となった様子です。そして今回もまたまた見事に冴え渡る白鳥ですが、相変わらずの毒舌ぶりで白鳥と関わる人たち全員を敵回すいつもの性格は変わっていません。そして白鳥も、同じような内容の告発文章を受けてとっていました。但し、白鳥が受けとった告発文章は手書きではなくパソコンで書かれたものでした。

エシックス・コミティつまり論理委員会の副院長は沼田です。沼田の考えは病院の看板診察に心療内科にしようと画策しています。そして病院の事務長を務める三船は、元厚生労働省の官僚で白鳥には先輩あたる人物ですが、三船は厚生労働省時代に医療経済配分のスペシャリストでもあり、アメリカで病院経営を学んだかなりのキレモノで、彼は事務長として病院で利益追求を第一として考えています。エシネックス・コミティ副委員長の沼田から提案がありました。それは救命センター長の速水を告発文をコシネックス・コミティ(論理委員会)へ付議するようにとの提案でした。